グレッグとSTOP & GO
グレッグとSTOP & GO(LOCK DANCEの動き③)
1970年代のアメリカでその活動が始まり、世界中にロックダンスを広めた原点であり頂点とも言える "THE LOCKERS" 。以前のコラムではその主要人物であるドン・キャンベルとトニー・バジルについてご紹介しました。今回お話ししたいのは、ロックダンスの発展と普及の立役者、グレッグ・キャンベルロックJr.(以下、グレッグ)についてです。
【ロックダンスの申し子】
グレッグはその名の通り、ロックダンスの創始者であるドン・キャンベルロックに認められそのダンサーネームを暖簾分けされたダンサーであると言えます。彼のダンスは陽気で、コミカルで、時にニヒルで、アクロバティックで、クリアで…とにかくFUNKYでCOOLなのです。それはまさにロックダンスを踊るにぴったりな素質の持ち主であると言えるのではないでしょうか。
残念ながら亡くなってしまった今でも、YouTubeなどで彼のダンスを観る事ができます。情熱的でパワフルで型破りなパフォーマンスをするドン・キャンベルとは対照的に、冷静に正確にダンスやアクロバットのテクニックを披露したかと思えばニクいタイミングでポーズを決めたりするグレッグは、どちらかと言うと玄人好みの表現をしています。この事からも、生みの親であるドンとはまた違った形でロックダンスをクリエイトし、そのダンスで沢山の人達を魅了していったのだと窺い知ることができますね。
●STOP & GO
ロックダンスの基本的なムーブの中に「STOP & GO」と呼ばれるものがあります。それを創ったのが何を隠そうグレッグその人だったと言い伝えられています。
①両肘を肩の高さに上げ、ポーズをする
②片手で前方にパンチし、一気に後ろに引く
③体を横向きにし手や足を入れ替える動作をする
④前方に勢いよく戻っていく
このような一連の流れを4カウントで行うのがSTOP & GOの基本です。平面的なムーブが多くなりがちなロックダンスにおいて、奥行きを思いっきり活用できるこのムーブは、ロックダンスのパフォーマンスに変化をつけるのに大変有効です。このムーブの意外な誕生秘話も興味深いです。
・トムとジェリー
以前のコラムでご紹介した「SCOOBY DOO」というムーブもアニメが名前の由来となっていましたが、ご存知「トムとジェリー」もロックダンスの発展に影響を与えたアニメの1つなのです。
短気なネコのトムは、イタズラなねずみのジェリーを追いかける際、胴体がゴムのように長く伸び、足はコミカルにぐるぐると回転し、慌ただしく走る様子が誇張されています。そこから着想を得てダンスに落とし込んだグレッグの創造力の高さには平伏せざるを得ません。その慌ただしくスピーディーな様子から、最初は "QUICKY(クイッキー=素早い)"と命名されていたようです。練習やパフォーマンスを繰り返す中で、1カウントめに "止まる" というニュアンスが加えられていき、やがて "止まってから急速に動き、また止まる" という流れが音楽的にも合っていたため "STOP & GO"として定着し、広められていったと考えられます。
【ロックダンスの伝道師】
グレッグの何よりの功績はTHE LOCKERSのショーを披露する際に「振付を創った」ということです。今ではダンスショーをするなら振付をするのが至極当然だと思いますが、当時は個人が個性を爆発させて活躍するSOUL TRAINが流行でした。THE LOCKERSのメンバーも個性派揃いなので、数々のムーブを並べて振付をつくり、各々得意なソロなどを織り交ぜ、小道具などの演出も巧みに使い、チームのショーとして統一感を持たせた構成を作って披露したのが、THE LOCKERSがテレビなどで評価されていった要因の1つだったようです。
更にグレッグは過去に「DANCE MONSTER」というダンスレクチャービデオに出演し、それは日本にも流通していました。20年も前になると、YouTubeはおろかダンスの教材は皆無に等しく、LOCKやHIPHOPなどのオリジネイターが直接解説とデモンストレーションダンスを行う映像は大変貴重でした。筆者がグレッグやロックダンスを詳しく知ったのもこのビデオがキッカケとなりました。
また晩年のグレッグは日本や世界各国へ渡りワークショップを行いながら、彼と友好関係のあるダンサーを ”CAMPBEL FAMILY" として迎え、盾を贈りロックダンスの普及に貢献しました。
◆4大メソッド
最後に、グレッグがワークショップで説いていた、ロックダンスを踊り、伝えていく中で大事にしてほしいという4つの理論をご紹介します。
"Attitude" 踊る姿勢
"Muscle Control" メリハリのついた動き
"Character" 個性
"Pure Funk" 純粋にファンクであること
以上です。今回は偉大なるグレッグ・キャンベルロックJr.氏に関する記事を書かせていただき光栄です。また次回のコラムも読んでいただけたら幸いです。
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