黒人たちの音楽による革命と歴史
黒人たちの音楽による革命と歴史~SOUL DANCEあれこれ⑤
ヒップホップとの繋がりや、現代のJ-POPとの関係性などさまざまな切り口からSOUL DANCEについてコラムを書かせていただいてまいりました。今回は、さらに深く掘り下げた内容をお届けします。SOUL DANCEやSOUL MUSIC、それを生み出すダンサーやアーティスト、そしてそのムーブメント自体が爆発的に人気となり、文化と呼べるほどにまで成長するに至った、ある大切な歴史的な出来事について筆者なりにまとめてお伝えしていきます。
●黒人の方々の歴史
アメリカでのSOUL MUSICの発展やその文化の成り立ちを知るにあたって避けて通ることができないのが、黒人たちが奴隷であった歴史です。「ひどい、かわいそう…」「自分たちには関係ない」ではなく、ヒップホップやストリートダンス、それにまつわるカルチャーに携わる人(ダンサー、ラッパー、グラフィティアーティスト、ミュージシャンなど)であれば知っておくべき事実なのではないでしょうか。
インターネットで検索してみると、遡ること約400年、15世紀の近代ヨーロッパ諸国による植民地の拡大が事の発端のようです。航海の末に広大なアメリカ大陸を発見し植民地としたのはいいものの、タバコの葉の栽培や刈り入れ、金銀鉱の採掘や綿摘みなどの労働力を補うために、アフリカ大陸から奴隷として黒人たちを連れてきて酷使したのです。奴隷商人という職業すら存在し、黒人たちを物のように取引していたという事実は今では考えられないような悲惨な話です。
アメリカ大陸の南部、ジョージア州、アリゾナ州、カリフォルニア州など綿花の栽培が盛んな地帯を「コットンフィールド」と呼びます。そういった地域には当然黒人が多く住んでいました。奴隷の扱いや暮らしについては簡単に想像できると言えたものではないですが、安すぎる賃金で過酷な労働を強いられていた、と聞くだけで既に人間として立派な暮らしが出来ていたとは到底思えません。
●黒人たちの音楽による革命
そうした経緯もあり、日々の悲哀を嘆く音楽【BLUES(ブルース)】が生まれました。特にサウスアメリカのテネシー州メンフィスという街では、そのブルースとJAZZを掛け合わせたような【SOUL MUSIC】として進化を遂げ、やがて人気を博し、黒人音楽の聖地とも言うべき重要拠点の一つとなりました。まさに音楽が彼らを救ったのです。
一方アメリカ北部の重工業が盛んな地域であるデトロイトでは、1960年代に入ると黒人音楽で大ヒットを巻き起こす【モータウンレコード】が誕生、1970年代にはシカゴで黒人による黒人のためのテレビ番組【ソウルトレイン】が放映スタートするなど、黒人の魂のこもった音楽やアートといった表現が注目され、全米のみならず全世界にその価値を認められていくのでした。
●公民権運動とWATTSTAX
しかしそこに至るまでには決して平坦な道のりではありませんでした。日本では20歳になると投票権が得られますが、アメリカの黒人たちがそういった市民権を得られるようになったのは比較的近年なのです。先に述べたような奴隷制度が廃止されたのが1865年。しかし、それからも差別や格差は続きました。バスやレストランなどでは白人と黒人とでは入り口や違っていたり、座る席が指定されていたり、労働環境や賃金の面でもそう簡単に不満は解消されなかったのです。
アメリカの【公民権運動】をご存知かと思います。1955年に起きた、ローザ・バークスという黒人女性が受けた差別に対するバスボイコット事件を皮切りに、キング牧師を筆頭にした、白人による黒人への差別を無くし、公民権を与えて欲しいという訴えを掲げた活動が始まります。それが公民権運動です。詳しくは割愛しますが、その運動を通して黒人の人権を認める法律が出来たのはなんと、1964年のことでした。
奴隷制度の開始から350年ほど、その廃止から100年が経つ頃でした。
しかしここでも、法が制定された途端に長年の差別が一気に払拭されるわけもなく、黒人たちは変わらず過酷な労働や差別を強いられ、翌年にワッツという都市で大きな暴動が起きてしまいます。その事件の痛みが治まるキッカケとなったのが1972年に "黒人による黒人のための大規模ライブ" として開催された【WATTSTAX(ワッツタックス)】でした。
ローザ・バークス事件からゆうに20年近くが経つその頃、ようやく黒人が活躍する音楽番組であるSOUL TRAINが立ち上がり人気となったり、黒人発祥のロックダンスが脚光を浴びたり…そういった時代だったのです。今では当たり前に存在する楽しいダンスですが「これからは自由に、自分らしく音楽をやったり踊ったりしていいんだ!」と認められた実感は、彼らにとっては大変喜ばしいことだったのでしょう。
●SOUL TRAINの進む先
SOUL TRAINという、言わば革命的に黒人の表現が世の中に認められた番組ができてからというもの、皆さんご存知のPOPが生まれ、BREAK DANCEが生まれ、全世界で映画が上映されたことによりブレイクダンスブームが巻き起こります。そしてHIPHOPが生まれ、カルチャーとしても定着し、広く楽しまれるようになりました。それはまた、別のコラムで見ていくこととしましょう。
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