ミュージカル振付師「ボブ・フォッシー」
ミュージカル振付師「ボブ・フォッシー」
ミュージカルの神様とも呼ばれる振付師で「フォッシースタイル」を生み出した、ボブ・フォッシー。肩をさげ、背中を丸めた姿勢が特徴的で、彼の作品を見たらすぐにフォッシーが振り付けしたとわかります。
今回はそんな彼の振付師としての生涯をご紹介します。
1927年にイリノイ州のシカゴで生まれたフォッシーは、子供のころからダンススクールに通い、13歳にしてダンスグループを率いていました。第二次世界大戦中は海軍として従事することとなりましたが、大戦後からはまたダンスの世界へと戻ることとなりました。
元々彼はダンサーとしてボードビルやブロードウェイにて活躍しており、バーレスクなどのクラブでもダンサーとしてパフォーマンスをしていました。その頃の経験が、その後の彼の振付家としての才能に影響を与えたとされています。
彼は15歳から振り付けもしていましたが、当時有名だったジーン・ケリーや、フレッド・アステアのようなスターとして有望視されていました。
また、1953年にかの有名な『キス・ミー・ケイト』に出演し、ダンサーとしての地位を確立することとなりました。
しかしながら、彼の才能は振付家として活躍をするうえで、よりいっそう開花することとなりました。
さて、彼の振付は誰もが一度見たらそうとわかる特徴的なものですが、その中でも彼は振り付けを行ううえで、帽子を頻繁に使用していましたが、それは若いうちに髪の毛が薄くなってしまったことに由来するそうで、また彼はもともと身長が低く、猫背気味だったため、その姿勢を誇張した結果、フォッシー独特のスタイルにつながったそうです。
また、彼はバレエのターン・アウトが苦手で、その発想を逆手にとり、足を内またにしてパフォーマンスをするようになった、といいます。そのようなことを積み重ねた結果、「フォッシースタイル」が確立されました。彼のコンプレックスを魅力にかえるという発想のもとで、様々な作品が世に出されました。
また、ジャズ・ハンドの形を生み出したのもフォッシーといわれています。彼の作品にはいわゆるジャズ・ハンドといわれる手の形が多用されています。
さらに、小道具も多く彼の作品には登場し、主にハットをはじめ、椅子や杖なども使用されていました。
1954年、彼のミュージカルでの振付家としての最初の作品は『パジャマ・ゲーム』でした。監督はジョージ・アボットと、ジェローム・ロビンスです。
その中の代表曲『スチーム・ヒート』はハットを黒スーツとハットを使用し、前述した独特な姿勢と足の運びが特徴的な振り付けとなっています。斬新な振り付けが話題となり、瞬く間に振付家として活躍するようになりました。
翌年の1955年には『くたばれ!ヤンキース』の振付を担当し、トニー賞を受賞しました。3年後にこの作品が映画化された際には、彼の妻のグウェン・ヴァードンと一緒にマンボダンサーとして、『Who’s Got the Pain』の曲にてオリジナルのデュエットシーンで出演しています。
1973年には、アカデミー賞、トニー賞、エミー賞を一年の間に同時受賞し、この3冠を成し遂げたのは、今のところフォッシーのみといわれています。アカデミー賞は後述する『キャバレー』、トニー賞を受賞したのは『ピピン』という作品で、これはフォッシーの最高傑作ともいわれています。エミー賞は『Liza with a Z』という作品にて受賞することとなりました。
1974年には『星の王子様』の中で、主人公の星の王子様が砂漠で出会う蛇を演じ、それが、後のマイケル・ジャクソンに多大な影響を与えたとされています。
1975年に、堕落と殺人をテーマにした、禁酒法時代の物語をミュージカルにし、フォッシーは振り付けだけでなく、脚本にも参加しています。それが彼の有名な作品『シカゴ』です。作品の時代設定こそは過去のものでしたが、現代社会に通じる内容が盛り込まれていました。後の作品『キャバレー』と同じようにブラックジョークをそこかしこにちりばめ、殺人やセレブのスキャンダルに絡めた皮肉を通じた表現方法が観衆に好まれました。
また、彼は映画監督としても活躍し、1968年の『スイート・チャリティー』にて監督デビューを果たしました。その後、1972年に監督した『キャバレー』は、アカデミー監督賞を受賞しました。
1979年には彼の自伝的作品『オール・ザット・ジャズ」が上演され、彼の振付師としてのショービジネス生活や、大病を通して彼自身の死と直面したことをミュージカルへと作り上げた大作です。
1987年に心臓発作にて、60代の若さで彼はこの世を去りました。生前最後のミュージカルは『ビッグディール』で、これが最後のトニー賞ともなりました。
彼の作品のスタイルは、多くの振付師だけでなく、演出家やダンサーに影響をあたえ、彼の死後も彼のスタイルを受け継いで数多くの作品が世にうまれています。
彼が生涯つらぬいた「フォッシースタイル」を、ぜひ一度見てみてください。
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