ダンスイベント~どうやって利益を出すか
ダンスイベントをやってみよう! 〜後編〜
当コラムをご覧いただきありがとうございます。HIPHOP、LOCK、POP、HOUSE、BREAK、WAACK…いわゆるストリートダンスのあれこれについて日々書き綴っているのですが、今回は【 ダンスイベントをやってみよう!〜前編〜】という記事の続きの内容になります。よろしければそちらも併せてお読みください。前回は、ダンスイベントを開催する場合に考えるべき、必要な支出の項目などについて解説いたしました。その内容に触れつつ、今回のテーマについてお話ししていきたいと思います。
●どうやって利益を出すか
前回の【 ダンスイベントをやってみよう!〜前編〜】という記事の中で「ダンスイベントは、仕事である」という旨をお伝えしました。仕事として捉えるのであれば、その作業や経費の対価として報酬が支払われることになります。前編の方では一般的なダンスバトルイベントを開催するにあたって必要な経費をざっと、15〜20万円としました(あくまでも一例であり、会場の条件ややりたいイベントの規模によって大きく異なりますが、最低限そのくらいなのだろうというイメージを持っていただく目安として認識していただければ幸いです)。
ではその支出に対して利益を出すには、収入をどのように得るか、どれくらい得る目標なのかを考えておく必要があるでしょう。一般的なダンスイベントで得られる、主な収入源は以下のとおりです。
①出演者が払う、エントリー費や参加費
②お客さんが払う、入場料や観覧料
③来場者が払う、飲食物やグッズの代金
④スポンサーが払う、協賛金
他にもありえますが、このあたりをイメージしておくと収入の計算のイメージがつきやすいのではないでしょうか。
では仮に「支出が20万円かかる想定のダンスバトル(1人対1人)を主催する」となった場合は、どのようなイメージになるでしょうか。わかりやすく例を挙げてみます。
・バトラーのエントリー費は1人あたり2000円
・観覧のお客さんも入場料は1人あたり2000円
この場合は、例えばバトラー(バトル参加者)が100人来てくれれば支出分の20万円はこの時点でクリアとなりますので、それ以降、お客さんが来れば来るほどその分が利益となっていくわけです。10人であれば2万円ですが、100人であれば20万円の黒字ということになります。これだけ見ると「簡単に儲けられそうではないですか?」と頬を緩ませ胸が躍る人もいらっしゃるかもしれません。
ですが、現実はそう甘くはありません。エントリー者とお客さん、それにMCやDJ、ジャッジの方々などを合わせて200人を超える人数を収容できるクラブや施設となると、それなりの広さの会場となり、その分会場費がかさみます。そして、昨今バトルイベントが林立する中で、100人ものエントリー者が集まってくれるような素晴らしいダンサーさんをジャッジとして呼び入れるのであれば、それなりにギャンティも高額になる可能性が高いですし、拘束時間が延びれば尚のことです。もしくは優勝賞金を釣り上げることで参加者を増やすことにも繋がるかもしれません。これは経費を見直す必要がありそうです。
更に、会場が広くなったり来場者が増えたりする場合には、オーガナイザー1人で長時間、滞りなく受付や進行をするのは不可能に近いので、スタッフを数人依頼することになるでしょう。
そうこうしているうちに、予定支出額が30…40…50万円と増えていきます。ではこれで想定通りエントリー100人、お客さんが100人来てくれればいい…かと思うと今度は収入が10万円不足しているので、主催者の赤字となります。ではそうならないように、エントリー費と入場料を2500円にして200人来てくれれば…それでやっとトントンです。今後のイベント開催に繋げる為にも利益を生むことを考えたら、エントリー費と入場料を3000円にした方がいいのでしょうか。そうした場合、170人ほど来てくれれば赤字は免れますが、2000円と3000円のイベントがあったら、安い方を選ぶ学生さんなどもいらっしゃるかもしれません。本当に170人も来てくれるのでしょうか…
と、こういった具合に悩ましいスパイラルに陥っていくのです。値段や人数の設定はあるところで決断をしなければならなかったり、主旨が似ていたり会場が近いイベントと同じ日程になってしまわないよう事前に情報を集めたり、いろいろな準備や考えが必要になってきます。
そうして入念に準備したとしても、突然の悪天候や公共交通機関の事故など、さまざまな理由で来られない人が続出したり、最悪の場合イベントを中止せざるを得ない状況になってしまい、赤字を被ってしまう可能性も決して少なくありません。
前回の記事の冒頭でもお伝えしたように、なぜイベントのオーガナイザーが少ないのか、という要因の一つは「実際大変だから」といった事情が挙げられるのではないでしょうか。そんな中でも素晴らしいイベントを提供してくださるオーガナイザーの方々には尊敬の念を覚えずにはいられません。
●さいごに
沢山のイベントが毎週のようにどこかで行われています。いろいろな不安や葛藤、特に今は感染症対策などにも留意したりする事情がありながら、沢山の人が楽しめる安心・安全なイベントを開催し、表現や創作の灯を消さないよう努力してくださっている方々に感謝したいものですね。
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