理想の深夜練
理想の深夜練/ダンサーはなぜ深夜練をするのか 〜後編〜
当コラムをご覧いただき誠にありがとうございます。ストリートダンスのあれこれについて日々書き綴っているこのコラムですが、今回は【 ダンサーはなぜ深夜練をするのか 】という記事の続きの内容になります。よろしければそちらも併せてお読みいただけますと幸いです。まずは前回の概要についてお話しさせていただきます。
「深夜練」とは深夜(24:00〜5:00辺りの時間帯)にダンスの練習をすることです。ダンサーなら誰でもやっているというわけではありませんが、一部のストリートダンサーにとっては必要不可欠であったり、メリットと言える部分もあるので広く認識されているのです。では、どんな点において深夜練は必要性やプラスが感じられるのでしょうか。また、どんなデメリットがあるのかも含めて、詳しく解説してまいります。
●眠くないの?頭と体は動くの?
同タイトルの前編の記事の中では、深夜練の必要性について述べました。しかし、どう考えても普段寝ている時間帯に激しい運動をしたり、頭を使って振付のアイデアや複雑な構成を組み立てたり、またそれを憶えたり…そういったことが効率的にできるものなのか、そう疑問に思われる方が多いであろうことは決して想像に難くありません。筆者の経験上、正直に申し上げまして、当然眠くなる時もあります。日常の疲れが溜まっている状態で深夜練に参加する場合などは、なるべく早く帰らせてもらえるようお願いする場合もあります。しかし、どちらかというとしっかりと練習できた日の方が多かったというのもまた事実として述べることが出来ます。
なぜなら深夜にわざわざ集まってもらうということは、参加してもらう人にそれだけ無理を強いて来てもらっているわけです。ですから、事前にしっかりと振付や構成などやるべきことを考えておき、その場でテキパキと指示して無理なく覚えてもらえるようにします。眠くなるような隙を与えない、もしくは眠くならないよう楽しんだり集中してもらえるよう心掛けているからです。それはコレオグラファーとしては当然の責任なのではないかと考えます。
●理想の深夜練~こんな深夜練はいやだ!
筆者がそのように考えるようになったのは、若かりし頃に参加させていただいた、ある先輩ダンサーさんのナンバー作品、その深夜練の際にとても不快な経験をしたことに由来します。24時頃に指定されたスタジオに参加メンバーが集まりました。振付師である先輩ダンサーさんは、各自前回の復習をしておくよう伝えると、別の場所に消えていきました。少ししたら戻ってきて続きをやるのだろう、どんな振付なのかと楽しみにしていた所…30分、1時間と時間が経過しても何の伝達もなく、ただただ待たされていたのです。そうしているうちにようやく先輩ダンサーさんが戻って来られた時には時計の針は2時を示そうとしていました。その時間にどうやら振付を考えていたようですが(百歩譲ってそれはまだいいのですが)、なんと、2時間も復習をさせられていた部分を何事もなかったかのようにさらっと変更したのです。
それから作品作りは順調に進んだものの、始発電車もとっくに動いている5時に差し掛かった時、先輩ダンサーさんから驚くべき一言が発せられたのを今でもよく覚えています。それは「よしラスト気合入れていこう!」という喝でした。振付を事前に考えてくれていれば、24時から始まって3時になっている計算です。その時間にラストスパートというのであればまだ頑張れますし、余裕で始発でも帰れます。「理想の深夜練」と言えます。その一回の不快な経験から、筆者は理想の深夜練を目指すようになりました。深夜練というだけでキツいのだから、せめて有意義な時間にしなければいけませんよね。
●結局はやり方次第
深夜練は、状況的にはメリットとデメリットを同時に抱える言わば諸刃の剣です。うまく使えれば、長いレンタル時間のわりに比較的安く借りれる上、スケジュールも確保しやすく有意義な練習となり得ます。
※ スタジオ以外では、ビルの窓ガラスなどを鏡代わりに練習する文化もあります。そういった場合は当然ビルの営業後に使用させてもらうわけですから、練習は深夜帯になります。私有地であれば、音量やゴミなど配慮して「使わせてもらっている」という認識を忘れずに適切な行動を心がけましょう。
逆に下手をすれば時間と体力の浪費となり、いい作品が生まれるどころか疲れとストレスのみが残ってしまいます。「これなら1〜2時間でもいいから終電前や朝に集中して練習した方が効率的」となる場合もあります。
筆者も周りも年齢を重ね、次第に深夜練がキツくなってきています。深夜練をすると、翌日の夕方くらいまで眠ってしまったり、連日響くようなガタが来てしまう場合があります。それならば、深夜はしっかり寝て、翌日の昼あたりに練習した方がいいという判断になるのは必然と言えます。そうは言っても結局スケジュールが合わないのであれば無理をしてでも深夜練をする必要が出てくることもしばしばあるわけですから、そういった場合には事前に準備をし、テキパキとやるべきことをこなし、余裕で早く帰れるよう「理想の深夜練」を目指したいものですね。
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