「 好き 」だけでダンスは続けられない?
「 好き 」だけでダンスは続けられない?
当コラムをご覧いただき誠にありがとうございます。ストリートダンスのあれこれについて日々書き綴っているこのコラムですが、今回は【 令和のダンサーのサバイバル術とは 〜 前編 〜 】という記事から派生した内容となっております。よろしければそちらも併せてお読みいただけますと幸いです。
さて、この記事を読んでくださっている皆さんは、ダンスに関わるお仕事をなさっている方でしょうか、はたまたダンスとは関係のないお仕事をされておられる方でしょうか。筆者には存じ上げる術はないのですが、どんなお仕事だとしても、その職に就く前から、元々好きで始めていたり趣味であったものの延長でその道に進まれたのか、もしくは決してそうではないけれども仕事として選んで日々頑張っていらっしゃるのか、大抵の方はどちらかに当てはまるのではないでしょうか。
今回の記事の主題といたしましては、表題のとおり【「ダンスが好き!」というだけで仕事に出来るものなのか、していいのか、出来ないのか】そういった点にフォーカスを当てて書き進めてまいりたいと思います。筆者自身もいろんなダンサーさんにインタビューなどしてお話を聞いてみたいような、そんなテーマであります。
●「好き」だけでダンサーになれる?
誤解を恐れず端的に申し上げてしまえば、なれます。筆者も実際そうしてプロダンサーとして生きている一人です。ただ、何事にも努力や向き不向き、タイミングや運などいろいろな条件や状況が関わってくるので一概には言えないのですが「好き」という気持ち…あくなき情熱や探究心と言い換えてもいいでしょう、それが強く原動力となっているのであれば、どんな苦難や苦境の中でも諦めずに努力や鍛錬を続けることができ、結果としてその成果を手にすることができるのではないでしょうか。
具体的には、ダンサーとしての仕事や経歴です。例えばコンテストやバトルの優勝、そしてそのジャッジの仕事。ダンスイベントのゲストショーのオファー。ダンススタジオなどでのインストラクターや発表会の振付作品の制作の依頼。好きで磨き続けてきたダンスには説得力があり、オリジナリティがあり、大いなる価値があるもののはずで、それはもはやその人の人生・生き様そのものが表れるものだと言えます。
●「好き」だけでダンサーになっていい?
ダンサーという職業は、厳密に言うと存在しません。自営業のカテゴリーに分類されるものだと言えます。つまり、決まった資格がないとダンスを教えてはいけないとか、何年間学校で勉強してないとダメだとか、そういったものではないです。なので、ダンサーになれるかどうかだけで言ってしまえば、誰でもなれてしまうのです。自分が名乗ればよいのですから。
ただ、そのダンスで報酬を得るとなると話は変わってきます。時間やお金をかけてまで、その人の踊るショーや教えるレッスン、創り出すコレオグラフに価値があるのか。対価に見合うダンスを提供できているのか、そのラインの見極めはある程度必要なのではないでしょうか。
●「好き」だけでダンサーは出来ない?
筆者が専門学生であった遥か昔、その時代の第一線で大活躍されている誰もが知る有名ダンサーさんが講師を務めていらっしゃいました。その時にポロッと聞いたのが「好きだけじゃダンスはやっていけないよ」という現実的なお話でした。何も知らない若者であった当時の筆者には、それ以上掘り下げて聞く度胸もなく、その真意はわかりかねるのですが、今になって思うと、おそらくこういうことをおっしゃりたかったのではないだろうか、と想像することができます。
それは「好きなダンスをやっているだけで永く食っていけるほどダンサーは甘くない。一番好きなジャンル以外のダンスも踊れた方が仕事に繋がるし、苦手な分野(人によってはインストラクターなど教える仕事や、コンテストやバトルなどで勝つこと、振付を作ったり自己プロデュースをすることなど)も幅広くチャレンジした方が生き残る可能性は上がる。時には仕事仕事、という頭になりすぎて好きだったダンスが嫌いになってしまうこともあるかもしれない。人気商売だし自営業のサービス業で社会的保障も極めて少ないのが『ダンサー』という不安定な職業。そこに向かっていくのなら、好きなことだけやっているのではやっていけないぞ」という厳しくも手厚い先人のアドバイスだったのではないでしょうか。
●まとめ
好きだけでダンサーになれるのか?今その問いがあったら、筆者はこう答えると思います。本気で頑張ればなれる、と。そしてそこから永く続けたいなら努力や覚悟が必要です、と添えます。専門学校を卒業し、ダンサーとして活動してもうすぐ20年となる今でも、仕事も趣味もダンスだと胸を張って言えます。安心して全力でダンスを好きでいてほしいですね。
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