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COLUMN

ダンサーの社会人としての在り方

公開日:2023年03月13日(月)

ダンサーの社会人としての在り方 〜 前編 〜

 

「ダンサーって敬語使えないじゃないですかー?」

ある日、後輩ダンサーから聞いた耳を疑うような一言に、とても驚愕したのをよく覚えています。ダンサーだから敬語が使えない、というのは大きく間違った認識であるのに、それを周知の事実であるかのように共感を求める調子で発せられたことに、それはそれは目を丸くしました。と同時に、とてつもなく残念な気持ちにもなったのです。

「ダンサーだから○○が出来ない」という認識はその多くがあくまでも偏見であり、実際そういったイメージがあったとしても30年ほど前の先駆者の一部が遺した時代遅れの印象であることが多いのです。だからと言って「ダンサーはみんな礼儀を重んじていて社会人の鑑である」と言い切ることは大変難しいですし、そう言うつもりは毛頭にありません。今回のコラムは、結論から申し上げてしまいますと、ダンサーであろうとなかろうと、ちゃんとした人はちゃんとしているし、そうでない人も一定数いる、ということです。当たり前といえば当たり前ですが、その後輩のように誤った認識をお持ちの方もいるのではないかと思い、ダンサーの実情をお伝えしたいのです。

「ダンサーだから」という誤った枕詞に甘えたダンサーや「ダンサーってこういうとこがダメだよね」と一括りにレッテルを貼って色眼鏡で見てしまわれている方がいるのならば、そういった方にこそ読んでいただきたいですし、少しでも認識が改められれば幸いです。


●「ダンサーは敬語が使えない」発言の経緯
まずは、この記事を書く発端ともなった発言の経緯について簡単にお話ししたいと思います。学生時代からダンスをしながらアパレル系の仕事に就いた後輩がいました。その人が別の職種に転職したばかりで、気苦労が多いという話を聞いていた時のことでした。その職場では上司や取引先と打ち合わせなどでやりとりする機会がそれまでよりも多いようで、今まで以上に敬語をしっかりと使う必要があることに大変さを感じているということでした。職種や立場、話す相手やルールなどが変われば、使う言葉や意識しなければならないことも変化を求められるのは当然のことだと言えるでしょう。大変なのは頷けます。ですが、今回の問題点はそこではありません。

その中で出たのが冒頭のセリフ「ダンサーって敬語使えないじゃないですかー?」だったのです。筆者を信頼して、親しい先輩と見込んで、気軽に接してくれている結果としてそういった本音を漏らしたのだと思いますが、それは違うのではないか、本当にそうなのかと即座に反応してしまいました。

「確かに敬語や礼儀がなっていないダンサーもいるし、あなたの周りのダンサーがたまたまそれに該当するだけではないのか?ちゃんと敬語を使えるダンサーも多い」
「ダンサーに限らず、敬語が完璧ではない社会人もいるのだから、ダンサー=敬語が不得意という認識は正しくないのではないか」
「そもそも、ダンサーだから敬語は使えないのが当然だという、そんな甘い態度で仕事をしていていいのか」

みなさんはどういった意見をお持ちでしょうか。少し厳しい言葉かもしれませんが、20年ほどダンス関連の人たちとたくさん関わってきた筆者から言わせていただきますと、そういった発言は初めて聞きましたし、後輩ダンサーからの当たり前のような発言に思わず反論せずにはいられませんでした。

もしかしたら、その言葉の真意は「ダンサーは、サラリーマンなどの一般的な社会人に比べてしまうと、日常的に敬語をしっかりと使って話すことができる人の割合は、どうしても少ないと言えるのではないか。そういった環境に長くいたため、普段から敬語を適切に使って取引をするには、自分はまだ適応力が足りなく、慣れるまでに時間がかかってしまいそうだ」ということだったのかもしれません。どちらにしろ「ダンサーは敬語が使えない」という発言は決して万人が頷ける認識であるとは言えないのではないでしょうか。


●ダンサーは時間にルーズでだらしない?
敬語と同じように、残念な認識で捉えられがちなのが「ダンサーはルーズである」ということです。90年代〜2000年代に流行ったオーバーサイズのヒップホップカジュアルや、きっちりとしているというよりもあえて外したような音どりや姿勢の印象から「ルーズさがヒップホップのカッコ良さだ」と認識している人もいるかもしれません。しかし「時間を守らないことさえもヒップホップらしくてカッコいいことだ」というのはどうでしょう。あまりに自己中心的で誤った解釈であると言わざるを得ないのではないでしょうか。

どんなにカッコよくダンスが出来ても、どんなに素晴らしいレッスンが出来ても、どんなに類い稀なる振付が出来ても、時間にルーズでは信頼を失いますし、本番に遅刻、最悪の場合は間に合わないなどといったことが続けば、仕事としても成り立ちませんよね。

大事なのはメリハリではないでしょうか。リラックスしたりルーズな感じのダンスや振付がカッコよくて必要な場面と、しっかりと時間や約束を守って行動をする場面と、必要に応じて使い分けられることこそ社会人としてダンサーがとるべき行動なのではないでしょうか。それがきちんと出来ている人も多いのが実情です。

次回へ続きます。

 

 

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