揃えないダンスのメリット
揃えないダンスのメリット・揃えない美学 〜 後編 〜
当コラムをご覧いただき誠にありがとうございます。HIPHOP、LOCK、POP、HOUSE、BREAK、WAACK…いわゆるストリートダンスのあれこれについて書き綴っているこのコラムですが、今回は【 揃えない美学 〜 前編 〜 】という記事の続きの内容です。そちらも併せてお読みいただけますと幸いです。
まず前編の内容を簡単に振り返っておきます。ダンス作品といえば、振付が揃っていたり、踊り方や衣装・立ち位置などがしっかり揃っている方が見映えがいい印象ですし、実際そこまでこだわった作品創りをするダンサーも多いです。しかし、全てが機械的に揃っているダンスよりも、ストリート感や個性を重視して「あえて揃えない」という美学のもとにダンスショーを作るケースもあります。では具体的に「揃えない」ことにどんなメリットがあるのか見ていきましょう。
●揃えないダンスのメリット
それでは本題に参りましょう。ストリートダンスにおいて、ダンスを揃えないことにどんなメリットがあるのでしょうか。一番のメリットと言えるのは「個々のダンサーのスキルやセンスの違いを明確に出せること」ではないでしょうか。
・ダンスバトルの場合のメリット
複数人で対戦する2on2バトルや3on3、あるいはCREWバトルなどがあります。そういったものの場合、どれだけたくさんの武器や戦い方があるかで勝敗の可能性に差がついてきます。バトルにおいては、複数人で参加するとしても、実際に踊るのは一人ずつである場面がほとんどです。もちろんバトルですから、即興で踊るので揃えるも何もないと言われればそれまでですが、必ずしもダンサー同士のスキルやテイストが揃っていることが有利であるとは言い切れません。
バトルではかかる曲もさまざまであり、それに対して表現や対応力、向き不向きなどもダンサーそれぞれであるため、同じような人間がチームを組むより、得意分野が異なるメンバーで構成されている方が勝てる可能性は上がると考えられます。それはつまり【揃っていないメリット】と言えるのではないでしょうか。
・ショーケースの場合のメリット
ダンスチームや期間限定のユニットで踊る場合も同様に、個性を尊重したい場合には、ダンスや衣装をそこまで揃えない方がその効果をより高く得られるでしょう。作品のテーマや内容にもよるのですが、もしストーリー性のある作品である場合は主人公や特殊な意味合いを持たせたい演者には、特別な振付を与えたり、目立つ衣装を着てもらうなどの工夫をすると、より一層メッセージが伝わりやすくなる効果が期待できます。そういった場合には、ダンスや衣装を「揃えない」という考え方になるのではないでしょうか。
しっかりと揃ったダンスを見せたければ、角度やタイミング、強弱やシルエットなどを徹底的に合わせたり、まったく同じ衣装を身につけてショーケースをすればそのイメージに近づきます。そうではなく、ダンサー個々のこだわりやセンスを重視することで、ダンスや衣装でいろいろな変化を見せる、まるで万華鏡のような効果を得られるのは、揃えない場合のメリットであると言えます。同じ振付を踊っていても、ダンサーのアレンジでポーズや角度、ちょっとしたニュアンスなどが絶妙なバランスで混ざり合う瞬間は絶品です。それが「揃えないダンス」ならではの魅力です。
●揃えた方がいいのか、揃えない方がいいのか
【揃える美学 〜 前編 〜】という記事の冒頭にも記述しましたように、結論としては「やりたいことによる」ということになります。
ダンスコンテストなどで一体感やチーム感を演出したい場合には可能な限りダンスや衣装、立ち位置などを揃えた方が見栄えはよいですし、バトルやストーリー性のある作品などで、個性を重視したり意味合いを持たせたい場合には揃えない方がいい場合もあるので、使い分けが肝心です。
「この部分はどうしても揃えたい!」というこだわりに対してはしっかりと意見を主張し、メンバーや生徒さんに納得してもらい、衣装を用意してもらったり練習を重ねていきます。「ここはバラバラの方がいい!」という点に関しては、逆に徹底的に個性が出るよう個々にアレンジをして楽しんでもらうのもいいでしょう。結局大事なのは「どんなダンスをしたいのか、どんな作品を創りたいのか」ではないでしょうか。そこまでこだわるほどの時間や経験・スキルやお金がない場合は、曖昧な部分があってもいいとは思いますが、こだわりが強いならば揃える部分や揃えない部分をはっきりとさせるべきでしょう。
何をどう揃えれば自分の理想に近づくのか、何をどうバラバラにすれば自分の理想に近づくのか、まずはそのイメージをしっかりと構築したり、実験していくことで徐々に定まっていくのではないでしょうか。揃えるも美学、揃えないも美学。そのバランスを見極める感性や経験を養いましょう。
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