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COLUMN

クセと個性

公開日:2023年05月16日(火)

クセと個性

 

当コラムをご覧いただき誠にありがとうございます。HIPHOP、LOCK、POP、HOUSE、BREAK、WAACK…いわゆるストリートダンスのあれこれについて書き綴っているこのコラムですが、今回はタイトルの通り【 クセと個性 】というテーマで文章を展開してまいりたいと思います。

みなさんは「クセと個性の違いはどういった点か」と問われたらどんな回答を思い浮かべますか?クセと個性は似て非なるものであり、ダンスにおけるそれもやはり、別物であります。


●クセと個性の違いとは?
簡単に言ってしまいますと「なっちゃう」のがクセで「○○らしい+α」が個性と言えるのではないでしょうか。それはつまりどういうことなのか、長年に渡りダンスやダンス指導に携わっている筆者なりに解説してまいります。

・基礎ができず、なっちゃう動き = クセ
ダンスレッスンをしている際に、基礎的なトレーニングを行うことがあります。例えば、アップやダウンのリズムトレーニングであったり、首や胸などを部分的にコントロールするアイソレーションであったり、ロックダンスなど専門的な技術であったり。それらを反復していくうちに、大体の人は同じような動きが出来るようになっていくのですが、最初のうちはいろいろな点で、お手本の先生や周りの生徒たちとズレてしまうことがあります。

例えば、アップのリズム取りをする時に、体をやや丸めた体勢から、起き上がる動きを練習するのですが、その流れのままアゴをやや上げる形になるように指導するとします。その時に、どうしてもアゴを引いてしまう人がいます。ゆっくりと解説したり、ゆっくり一緒に動いている時はアゴを上げられるのですが、いざ音楽に合わせてみたり、お手本無しに踊らせてみると、何度やってもアゴを引いてしまうのです。わかっているけど出来ない、違う動きをしてしまう…これは完全にクセであると言えます。

何らかの身体的な理由などでアゴが上げられなかったり、動かし方が理解できていないのであれば話は別ですが、そうではない状況でどうしてもアゴを引いてしまうのは、おそらく、以前そのやり方で習ったものが染みついており、違う動きに修正するのに時間がかかってしまっているのかもしれませんね。

同様に、アイソレーションを練習する場合にもクセは見られます。例として、胸を大きくゆっくり左から前を通って回していくとします。その時、どうしても動き出しにアクセントをつけてしまったり、右側や後側を省略しがちになってしまったりして、胸で描く円が歪んでしまうことがあります。

このように、基礎の習得度が未熟であり「ちゃんと出来なくて、そうなっちゃう」という状態は「クセがある」と言えます。


・基礎がある上でその人ならではの味付けをする = 個性
一方、個性とはどんなものでしょうか。ダンスの場合で言いますと、前述したようなリズムやアイソレーションなどの基礎のダンスがある程度しっかり出来ている上で、プラスアルファでそのダンサーなりのカッコ良さやこだわりポイントが現れている場合には、それはクセではなく「個性がある」と言えます。

アップのリズムがばっちり音楽に合わせて出来ている上で、力の抜き加減が絶妙にカッコよかったり、なんとも言えない間(ま)を感じるようなフィーリングがあったり。特別な振付などがなくても、アップのリズムをとっているだけでも、そのシルエットを見た人が「あ、○○さんだね」と言われるようなダンスが出来た時にも「個性がある」状態であると言えるのではないでしょうか。

またアイソレーションの場合ですと、やたらと可動域が広く、他の人に比べて円が綺麗に大きく描けていたり、正確無比なほどに質の高められたコントロールが出来たり、音の質感によって表現を的確に変化させながら体を使えたり。そのようにスキルが高められるのも自分の「個性」を知り、活かせられるからこそなのでしょう。


●クセも発展すれば個性になりうる
クセと個性の違い、なんとなくご理解いただけましたでしょうか。あくまでも筆者の感覚でお伝えしている部分もありますので、否定的なお考えを持たれる方もいらっしゃるかと存じます。最後に申し上げたいのが「クセは、全て悪いものだから直すべきものである」とは言い切れないのではないかということです。

「なっちゃう」のがクセと記述いたしましたが、そのクセも、やり続けていればやがて「個性」へと昇華することもあります。何かお仕事のダンスなどで、どうしても全員のダンサーが細かいところまで全て一致させる動きをしなければならない、といった特殊な事情であれば、クセがあれば修正する必要があります。しかし、そうでない場合、趣味でダンスを習っていたり、特に誰かに合わせて発表したり評価されるようなステージに立つわけではないのならば、そのクセもクセのまま、自由にダンスを楽しんでよいのです。無理に直そうとして楽しくなかったり、誰かに強制されてまで直すこともありません。そのクセが気に入っていて踊り続けていれば、それがいつしか誰にも真似できない「プラスアルファ」にもなり得るのではないでしょうか。

直すべきところは直し、伸ばすべきところは伸ばして、十人十色のダンスを楽しんでいきましょう。

 

 

クセと個性・ダンサー派遣会社ZERO CREATIONのダンスコラム

 

 

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