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COLUMN

ダンスの著作権について

公開日:2018年11月10日(土)

ダンスの著作権について

 

近年では学校の授業にも取り入れられ様々な年代の人が楽しむ「ダンス」。
TVやCMでは有名な振付師を起用してダンスを見ない日はありません。
いわゆる「盆踊り」や「よさこい」のような、みんで楽しく踊れるものから、プロダンサーによるとても難度の高いハイレベルなものまで様々ありますが、そのダンスを魅力的なものにしている要因として、実際のパフォーマンスと並んで「振り付け」というものは外せません。
では、ダンスの振り付けには著作権が発生するのでしょうか?


著作権が関係するとしたら、ちょっと踊るだけでも権利者からの許諾が必要なのでしょうか?

振り付けは著作物なのか?

著作権法で保護されるのは著作物ですから、まずはその著作物であるかを考えます。

 

著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものを言う」(著作権法2条1項)ですので、これに該当するかを考えると、、、

・思想又は感情: ○ 振付師の思想や感情が反映されます
・創作的に:   ○ 創作ですよね
・表現したもの: ○ 様々な何らかの形で表現しますよね
・文芸、学術、美術又は音楽: ・・・美術?音楽?どれだろう??

・・・と、定義に該当するかはハッキリと言えませんが、でも実は振り付けは著作物であると言える根拠があります。


それが著作権法10条1項で、ここでは著作物が具体的に例示されていますが、その3号にて「舞踏又は無言劇の著作物」が挙げられており、ダンスの振り付けであれば「舞踏」に該当すると考えられます。

また、過去の裁判例でも、日本舞踊の振り付けについて著作物性を認めたものもあります。
(「日本舞踊事件」平成14年12月26日 福岡高裁判決)
よって、原則的には振り付けは著作物である、と言えます。
すべての振り付けが著作物とは限らない
振り付けは原則的には著作物である、と書きましたが、実は著作物とは認められない事例もあります。

有名な裁判例として「映画[Shall we ダンス?]事件」(平成24年2月28日 東京地裁判決)があり、映画の中で踊られた社交ダンスの振り付けに対して著作物性が否定されました。
「社交ダンスの振り付けとは,基本ステップやPVのステップ等の既存のステップを組み合わせ,これに適宜アレンジを加えるなどして一つの流れのあるダンスを作り出すことである。このような既存のステップの組合せを基本とする社交ダンスの振り付けが著作物に該当するというためには,それが単なる既存のステップの組合せにとどまらない顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であると解するのが相当である。」


このように、すでに存在するステップ(振り付け)を組み合わせただけでは著作物ではなく、著作物と認められるには”既存のステップの組合せにとどまらない顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要”ということになります。

既に広く知られている振り付けを著作権で保護してしまうと、振り付けの自由度が過度に制限されてしまうため、このような判断になっているものと考えられます。

例えば最近曲もダンスもヒットした三代目 J Soul Brothersの「R.Y.U.S.E.I」の振り付けの場合、曲全体の振り付けは振り付けした人の著作物であることは異論無いと思いますが、この曲中の特徴的なステップ「ランニングマン」だけを取り上げた場合、これは「HIPHOPダンスの基本的なステップであるため著作物では無い」という考えもできますし、でも「手を斜め上に挙げることを加えたことで独創的なものとなり著作物である」、という考えもできると思います。難しいですね。

 

「踊るには許諾が必要?」

振り付け師が独自に考えた、思想又は感情が創作的に表現されたものであれば著作物とされる可能性が高いですが、ではその場合、その振り付けを踊るためには、その都度振り付け師(または権利者)に対して許諾を求める必要があるのでしょうか?
厳密に著作権法の条文通りに解釈すれば、公衆に直接見せる場合は上演権(著作権法22条)について許諾が必要ということになります。


ここでポイントとなるのは、「公衆に直接見せる場合に」許諾が必要、という点です。
逆に言えば、公衆に直接見せない場合は、許諾不要となります。
著作権法でいう”公衆”とは、不特定の者、又は「特定かつ多数の者」(著作権法2条5項)とされています。
誰もいないところで一人で踊ったり、友人数人の前で踊る(=特定かつ少数)場合には問題ありませんが、お店で踊ったり(=不特定)、ある会社の社員数百人の前で踊る(=特定かつ多数)といった場合は許諾が必要となる可能性が高いです。

許諾が必要ないもう一つのケース
”公衆に直接見せる”以外の場合であれば許諾不要ですが、もう一つ、許諾なしでダンスを見せることができる場合があります。
それが、「非営利・無料・無報酬での上演」(著作権法38条1項)です。
営利を目的としない
聴衆または観衆から料金(入場料など)をとらない
出演者にギャラが支払われない
上記に該当する場合には、許諾なくダンスを見せる、踊ることができます。
具体的には、学校の文化祭で踊る、ボランティアで公民館で踊る、などが該当します。
ただし、たとえ入場無料であっても、一般企業が主催するイベントでは(一般的に)非営利目的ではないためダメですし、ダンス教室の場合も同様にダメです。
~「社交ダンス教室」事件(平成15年2月7日 名古屋地裁判決)では、社交ダンス教室は営利目的であると判断されており、ダンスを踊る際に無許諾で音楽を流す行為は著作権侵害だと認定されました。~

 

「ダンサーにも権利がある?」
振り付けが著作物であれば、それを演じるダンサーは「実演家」ということになり、実演家としての著作隣接権(実演家人格権を含む)が発生します。

「実演家人格権」
著作者人格権と同様に、実演家が精神的に傷つけられないように保護するための権利があります。
それが「実演家人格権」で、このような人格権は著作隣接権の中では実演家のみに付与されるのが大きな特徴です。
また、著作者人格権と同様に譲渡ができない権利で、実演家の死亡と同時に消滅するのも同様です。
実演家人格権は著作者人格権に似た「氏名表示権」と「同一性保持権」の2つで構成されており、著作者人格権では付与されていた「公表権」はありません。これは実演されるということは公表するのが前提という場合が多いためです。
「氏名表示権」は著作者人格権と同様に、自分の実演について実演家の名前を表示するかしないか、また表示する場合は本名か芸名かなどを決定できる権利です。
ただし、実演家の利益を害しない場合や公正な慣行に反しないときは、実演家名を省略することができるとされています。


例えば街中で流れるBGMで演奏者名をいちいちアナウンスしない、映画に出演した大勢のエキストラ個人個人の氏名を表示しない、などです。
「同一性保持権」は、自分の実演について無断で名誉声望を害するような改変をされない権利です。
著作者がもつ同一性保持権と違うのは、著作者は「意に反する改変」すべてについて権利行使できますが、実演家は「名誉声望を害するような改変」についてのみ権利行使でき、侵害された場合は名誉声望を害するかどうかを実演家自身が立証する必要があります。

如何でしょうか?
日本ではまだまだ振り付けに対する確固とした著作権というものは、あるような無いような微妙なラインにあります。
しかしダンスコンテストなどで他のチームやダンサーの振り付けを丸パクリする・・・などの話もチラホラ聞きます。
著作権に引っかかる以前にダンサーとしてのプライドまた人としての道徳にも反するような行為は辞めてほしいものです。

 

ダンスの著作権について・ダンス振付会社ゼロクリエーションのダンスコラム

 

 

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